2008年11月22日土曜日

企業再生と廃業

再生には、法的な再生と社会の自主的な再生の2つがありますが、今回は企業自らが行う再生(再建)について述べます。 再生には次のようなものが必要と言われています。それは、「戦略、事業計画のやり直し」、「ビジネスの流れの見直し、仕組み、制度や組織をかえる」、「ムダのない動き、社員の思考・行動をかえる」です。これらを再生の基本的スタンスとして取り組むことが必要です。下記にポイントを示します。

【現状分析】

再生の順番ですが、第1に現状を分析し解決すべき課題を明確にしていきます。資料としては、直近のP/L(損益計算書)、B/S(貸借対照表)、キャッシュフロー計算書(または資金繰り表)などにより、定量的な問題点を浮き彫りにすることです。さらに商品別、顧客別、担当者別などのセグメント分析があるとよいでしょう。強み、弱みが分かると思います。

【目標設定】

第2に目標設定を明確にすることです。さまざまな目標がありますが、もっとも簡潔で強力な目標は、毎期の銀行などの返済財源の確保、すなわちキャッシュフロー(減価償却費と利益の合計)を目標にするとよいでしょう。

【課題の抽出】

第3に再生の課題を抽出します。これは、

  1. 財務リストラ(会社の財務内容を健全にすること)
  2. 業務リストラ(業務の効率化により会社の収益性を改善していくこと)
  3. 事業リストラ(不採算部門・事業からの撤退)

の3点から再生の課題を抽出していきます。

リストラというと、人のクビ切りと考えがちですが、本来の意味は事業再構築という意味ですから、容易な人件費カットは注意が必要です。むしろ、仕入れ、外注費の見直しなど付加価値の改善が大切です。

不採算部門・事業からの撤退については、変動費、固定費から判断をしてください。中小企業は、もてる資源が限られていますから、経営上の選択と集中が必要になるでしょう。

【事業再生計画書の作成】

第4に事業再生計画書を作成します。作成上の注意ですが、売上げは保守的な水準で計上し、むしろ利益を確保し目標のキャッシュフローを確実なものにしていくことです。この計画書を土台として再生に取り組み、銀行などの信頼を確保すれば、なおいっそう、よい企業になることができると思います。

【中小企業再生の支援組織】

中小企業再生について、各都道府県にある中小企業再生支援協議会が相談、支援にあたっています。協議会には、中小企業診断士、公認会計士、弁護士などの専門家が常駐しており、助言や再生計画作りなどを支援しています。上記の事項について、ぜひ協議会に相談をしてください。再生の最大のポイントは、早期に手を打つことです。まだ大丈夫と思っているうちに、状況は悪化し、打つ手がほとんどなくなったときに相談をしても手遅れということになります。病気も早期発見、早期治療が効果的なのと同じで、企業再生も早期の「治療」が大切です。協議会の支援を受けて再生計画を策定した企業は、平成19年3月末現在で1,379社に及んでいます。経営の先行きに不安を感じたら、すぐにでも協議会にご相談されるとよいでしょう。


企業再生の手順として、現状分析→目標設定→課題抽出→事業再生計画書作成という手順を踏みます。これらをトータルで支援する組織として、各都道府県に中小企業再生支援協議会がありますので、経営の先行きに不安を感じたら早期に相談してください。



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