2008年12月17日水曜日

販路ナビゲーター創出支援事業とは?

(独)中小企業基盤整備機構(以下、中小機構という)の各支部に販路開拓の窓口を設置し、技術力はあるが販路開拓に悩みを抱える中小企業に対し、販路開拓を成功報酬型で請け負う販路ナビゲーターとのマッチングの機会を提供する事業です。

中小企業者の経営課題としていつも上位にあがるものに「製品・サービスの販路拡大」があります。具体的な課題として「広く販路開拓をしたいが、人手が足りない」「新製品を開発したが、顧客ニーズを十分に把握しなかったので売れない」「新規顧客との商談に馴れてなく、商談が思うように進まない」といったものがあげられます。

そこで、販路ナビゲーター創出支援事業では、販路ナビゲーター(商社OBなど販売経験が豊富な方)と製品販売を強化したい中小企業者とのマッチングの場を提供しています。

また、都道府県等中小企業支援センターが主催している中小企業マッチングイベントにおいて、販路開拓に課題があり、自社に合った販路ナビゲーターを希望するケースに対応して、中小機構に登録された販路ナビゲーターを派遣します。

事業の利用の流れは、概ね以下のようになっています。

1.推薦申し込み

中小機構の支部または支援を受けた都道府県等中小企業支援センターからの推薦を付けて、中小機構へ支援の申し込みを行います。

2.スクリーニング

申し込みを受けた中小企業のなかから当事業の支援を受けて効果の出そうな企業を選定します。

3.販路ナビマッチングプレゼンテーション(マッチング)

中小企業者が、中小機構が選んだ販路ナビゲーターの前で販路開拓を希望する製品の内容についてプレゼンテーションを行います。販路ナビゲーターは、プレゼンされた製品の販路可能性について検討し、どのような市場で売っていくかを提案書として提出します。

4.マッチング成立と予備調査

中小企業と販路ナビゲーターの相互の納得によりマッチングが成立します。成立後、中小企業と販路ナビゲーターが打ち合わせを行って、販路開拓の内容を固めます。

5.成功報酬型等の契約

販路紹介や販売代行業務などの契約内容を取り決め、報酬を両者間で決定してもらいます。

販路開拓をやりたくても人手がなくてできないといった企業には、非常に有効な事業と思われます。また、取引先を開拓して製品に対する評価をいただき、次の製品改良に結び付けられることができれば、さらに市場に受け入れられる製品ができるのではないでしょうか。

中小機構では、当事業のほかに、販路開拓専門家がマーケティング面から支援を行う「販路開拓コーディネート事業」も実施しています。当事業と合わせて活用することにより、課題解決をよりいっそう迅速に行うことができるものと思われます。

ぜひ、貴社の販路開拓に関する悩みを最寄りの中小機構支部または都道府県中小企業支援センターへ相談してみてください。

2008年12月10日水曜日

ビジネスマッチング

『ビジネスマッチング』とは、(資金や人材、製造先・販売先等の取引先といった)自社の不足資源を得るための“お見合いの場”のようなものと言えます。知名度が低く経営資源に乏しい中小企業者が、自社の行っている事業を紹介したり不足資源を得るために、きわめて有効な“場”と考えられています。国や自治体、公的支援機関等が主催しているものが多いようですが、民間団体開催のケースも見られます。

マッチングの場は、ブースを構えて製品・商品の展示を行う「展示会」タイプのものと、事業計画の発表を通じて不足資源の提供を呼び掛ける「プレゼンテーション」タイプのものとに大別できます。

「展示会」の中には、3万人以上の来場者が期待できる大規模なものもあり、展示を通じて自社の製・商品を広く知ってもらう場としての活用が期待されます。

一方、「プレゼンテーション」では、サポート機関や経営資源を持つ企業・人に対し、自社の事業計画について説明を行い、資金や人材、製造先・販売先等を得ようとする場で、「展示会」と比べると規模は小さくなりますが、必要な対象にピンポイントでメッセージを伝えることができる点が有効です。

目的によって適切なマッチングの場を使い分けますが、(1)マッチングの目的を明確に持つとともに、(コンタクト企業数や販売額といった)目標を定めて参加する(2)理解してもらうことを第一に考え、わかるやすい表現・言葉で展示や説明を行う(3)「展示会」ではストーリーや動きを持たせたインパクトのある展示を目指す(4)「プレゼンテーション」では、聞き手が自社やその商品のどのような点に関心を持っているのかを考慮しニーズに合わせた説明を行う(5)アフターフォローを的確に準備・実施する―などといった点を考慮して準備を行うことで、大きなマッチング成果が期待できます。

2008年12月7日日曜日

情報収集~SWOT分析


【競合店ごとに情報をカード化する】

まず、あなたのお店のお客さまは、どの範囲に住んでいらっしゃいますか?

来店までの交通の便から仮説的に半径○kmと推測したり、地域別にチラシを配って反応をみたり、曜日・時間帯別の来店客に居住地域を直接ヒアリング調査することで調べてみましょう。お客さまのこられる範囲を「商圏」と言いますが、さらにその商圏内のお客さまが買い物をするであろう、広域商圏にある競合店をリストアップします。

次にその競合店の競争力をチェックします。

チェック項目は、競合店ごとにカード化するのが便利です。カードは、競合店の店名・住所・営業時間・面積・駐車場の有無・開店日などの属性データのほか、主力商品・客層・価格帯・プロモーションの観察結果、品質・サービス・清潔感の分析結果を記入できるようにし、最後にその競合店の「強み」「弱み」が導き出されるものにしましょう。

各競合店を実際に訪れて調査します。できれば平日と週末の来店パターンを観察し、またPOPやレイアウトの変更頻度を知るために週次、月次、季次のデータを集めたいところです。可能であれば、デジタルカメラか、携帯電話付属のカメラ程度で構わないので、写真も撮りましょう。店の人に一言断ってから撮影するのが原則です。

さらに、競合店への人の流れも重要なポイントです。地域の集客拠点となるような施設を把握しましょう。競合店がどのように集客施設からお客さまを呼び込んでいるのかを分析し、自店の集客に活かします。たとえば、チラシ配布一つとっても、より多くの人の集まるところや流れの方向(これを「動線」と言います)が分かれば、効果的なプロモーションが可能になります。

こうした集客施設には、駅などの交通拠点・スーパーなどの商業集積・娯楽施設・大規模住宅地・事業所・学校・病院・官公庁施設などがあります。自店周辺地域の「集客施設マップ」を作成しましょう。自店と競合店ももちろんマッピングします。車道・歩道のほかバス路線なども記入して、人の流れが分かるように工夫してください。自店と競合店が、集客のうえでどのような条件下にあるかが見えてくるはずです。

【SWOT分析が差別化のポイント】

最後に、分析結果をどのように活用するかを考えましょう。

競合店と比較した場合の自店の相対的な「a.強み(Strength)」「b.弱み(Weakness)」を一覧にします。また、自店を取り巻く環境について、売上を伸ばすうえでのプラスポイントを「c.機会(Opportunity)」、マイナスポイントを「d.脅威(Threat)」として一覧に加えます。このa~dの4象限を「SWOT分析表」と呼びます。この中から、機会を活かして強みを伸ばす方向で、「ターゲットマーケットの明確化」と、競合店との「差別化」を図るのです。

たとえば、分析の結果、ターゲットとなる客層を「和風の好きな女性」から「和のテイストを取り入れるきっかけとしての情報が欲しい男女」に拡大することが望ましいと思われたとすれば、「暦の知識」とか「日本の伝統色の知識」などを提供し、普段の洋服にワンポイントでその知識を活かす方法を提案することで、あなたのお店を差別化できるかもしれません。

そして、そのような店づくりと同時に、「集客施設マップ」を見ながら、あなたのお店に人の流れを呼び込むように店舗視認性を工夫したり、店外の顧客動線に合わせてチラシを配布したりすることで、来店客数増加を狙うのです。

あなたの手が回らないところがあったら、そこではじめて中小企業診断士などの専門家に依頼して整理すればよいでしょう。

2008年12月2日火曜日

中小企業振興

最近は”コト”消費といわれる新しいトレンドが注目されています。従来は、商品の所有自体が消費の主な目的でしたが、ただモノを手に入れるだけでは飽き足らなくなった消費者層は、買い物時の娯楽性や体験性といったプラスアルファの価値を求めるようになってきました。こうした傾向が、”モノ”消費に対する”コト”消費という言葉で表されます。商品の品質が向上し、商品間の差異が少なくなったことに加え、一時のデフレの進行により、消費者は一定の品質の商品をいつでも低価格で入手できるようになって物質的に充足してしまった中で、コト消費喚起のための演出は、差別化の方策として有効と思われます。

小売店がコト商品の喚起を仕掛けるにはいくつかの方法がありますが、一つは、商品と一緒にさまざまな情報を提供するやり方があります。たとえば、生産者の苦労や利用者の声を店頭に掲載し、商品へのイメージを膨らませて消費を促す方法です。

また、購入時の楽しさや快適さを演出する方法もあります。絵画ギャラリーなどを併設して娯楽性を高め、来店客がコトを楽しみながらモノを買う仕掛けを作っている店舗が人気です。

さらに、顧客との関係を深めて顧客ごとの嗜好や傾向を把握し、個別の要望に対応する方法もあります。過去の購入履歴を分析し、顧客の好みに合った商品を提案したりするのがこれに当たります。

たとえば、トヨタの「レクサス」は開発思想などを情報発信して特別な車であることをアピールする「情報提供」、専門のショールームでサービスを提供する「快適さの演出」、レストランの紹介予約などのコンシェルジュサービスを提供する「個別の要望への対応」など、多くの仕掛けを備えています。

こうした取り組みには工夫と手間が必要で、短期的にはコストアップ要因となりますが、長期的には固定客の取り込みにつながりますので、戦略の一つとして検討してはいかがでしょうか。ぜひとも、消費者に「なぜかこのお店で買ってしまう」と感じさせる魅力的な店作りを実現してください。

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